エルベテーク
​幼児・小学生・中学生・高校生及び発達で心配なお子さまの教室
お問い合わせ・ご相談
埼玉川口教室(関東)
048-223-8224
大阪本部教室(関西)
06-4708-4138
学園大阪教室(関西)
06-6786-8703
お問い合わせ・ご相談
埼玉川口
(関東)
048-223-8224
大阪本部
(関西)
06-4708-4138
学園大阪
(関西)
06-6786-8703

MENU

CLOSE

季刊誌―エルベテーク

2018年 夏季号 コラム 保護者へのQ&A

Q.子ども(小3)は聴覚過敏といわれ、大きな音に「うるさい」と言って耳をふさいだり、授業も聞いていません。運動会などの行事に参加できません。また、偏食が激しく困っています。親としてどのように対応したらいいでしょうか?

A.発達上の課題で聴覚過敏とか視覚過敏という言葉がよく使われます。仮にお子さんがそうだとしても、そのままの状態でこれからの人生を送るとなると、大変なことは誰でもわかります。どうにか軽減できる方向にもっていく、そのためにはどうしたらいいか、そうした視点に立つことが親として大切ではないかと思います。

 ところが、2、30年前から「無理をさせてはいけない」という言い方がよくされるようになりました。しかし、冷静に考えてみてください。大人が無理をさせないということは、子どもが自分本位になって無理を繰り返す、無理を押し通すようになるということを意味するのではないでしょうか。「食べたくない」「勉強はしたくない」「授業を受けたくない」「学校には行きたくない」……、親がなんとかしたいと思って注意しても、「嫌だ」「したくない」「めんどくさい」という返事とともに泣いたり怒ったりすることでしょう。

 親として聴覚過敏や視覚過敏という言葉で片づけたいところでしょうが、本当の理由は何か振り返ってみましょう。すると、「授業・学習についていけない」「運動会の練習がいやだ」「多くが自分中心でコントロールできない」「身の回りの整理整頓ができない」などの問題があるはずです。もしそうならば、「周りの音がうるさい」というのは自分本位になりやすい子どもの言い訳であって、むしろ子どもに応じる姿勢が身についていないということがここでの一番の課題なのです。

 この応じる姿勢が身につくように教えてあげないと、子どもはなかなか応じられず、自分のことばかりを優先させ、誰の話も聞けなくなるのは明らかです。課題は聴覚過敏や視覚過敏ではないのです。応じる姿勢を練習させることによって少しずつ、我慢する力や周りと折り合いをつける力を身につけることができるのだと思います。そして、応じる姿勢を身につけさせるにつれて子どもは、たとえ大きな音が嫌であっても、「周りの音がうるさい」などはけっして口に出さず、自分の感情をコントロールして、今やらなければならないことに集中できるようになります。

 偏食の場合も同じだと思います。偏食があったとして、嫌いな野菜や肉などをずっと食べないでいると、大人になってからも嫌いなままでは栄養のバランスを崩しがちになります。医療的な対応が必要なアレルギーがある場合は別ですが、そうでなければ、偏食を少しでも減らそうという親の姿勢がスタートになると思います。

 「うちの子には強い偏食があります」と言って私どもの教室に通う親子を見ていると、実は親が子どもに応じる姿勢を教えていない、子どもの言いなりになって振り回されていることがよくわかります。そこで、私どもの教室では偏食を改めるにあたってまず、大人の言うことを素直に受け入れて応じるという姿勢を練習させます。するとやがて、子どもの偏食は「今まではなんだったのか」というほどに改まります。全員がそのプロセスを経験しています。偏食を改めさせるのにはまず、応じる姿勢を身につけさせることです。

 以上、述べてきたように、「このままではいけない」と考え、子どもの状態をなんとか軽減できる方向に導いていく、そのためにはどうすればいいかという視点に立つか、子どもの状態をわかってあげなければいけないという視点に立つか、そこがまずは大きな分かれ道になるのではないかと思います。そして、子どもの表面的な言動にとらわれずに、まず子どもに応じる姿勢を身につけさせるという、すべての子育ての基本にもう一度立ち返ることが求められているように感じます。以上のことが親から教えられないと、結局、困るのは子どものほうですから。

Q.子ども(小5)の進学にあたってたくさんの情報の中から適切な情報を選び出すのが難しいです。子どもとのコミュニケーションがなかなかとれず、親としてどのような方針を立てればいいか、わからず、困っています。どうしたらいいでしょうか?

A.小学校の高学年になった子どもたちと話していると、時々、ぶっきらぼうな言い方で話してくる子がいます。相手は大人なのに、「わかりません」「知りません」と答えるだけです。これこれの状態なのでいまの私にはよくわかりません……と本来は丁寧に答えるべきなのに、取りつく島がないような状態で言葉が返ってきます。このような場合、家庭で親子が話し合う機会が少ない状況ではないかと思います。

 やはり、家庭という身近な場所で親が子どもに教えるというのは基本ですから、子どもと話し合う機会が少なければ、応じる姿勢を身につけさせるという大切なこともなかなかうまくいかないのではないでしょうか。そして、進学など、重要な局面になって、子どもと話し合おうとしても、なかなかコミュニケーションがとれないように思われます。

 ふだんから機会をとらえて、子どもと向き合い、親としていまやるべきことは何なのかを子どもに伝えることが大切ではないでしょうか。親子という関係で気恥ずかしく、難しいと思ったら、おじさんおばさんあるいは学校の先生など第三者の協力を得て互いの気持ちを理解するように努めるのもひとつのやり方だと思います。

 もちろん、日々の学習を通して、「ここがわかっていないね」「ここはこうすればいいいよ」「どうしたらいいと思う」という具合に親子で会話していくことによって、コミュニケーションが深まることに私たちは着目すべきだと思います。

 最近は、コミュニケーションというと、自分の意見を主張したり言葉が多く出ていることが望ましいとする傾向が強まっているように見受けますが、やはり、コミュニケーションでは、相手の話に耳を傾け、理解を深める、あるいは相手がわかるように話す、説明する、そんな力が大切です。

 いずれにして、親ときちんと話し合いができるようになれば、やがて周りの大人ともコミュニケーションがとれるようになる可能性が高まる、と考えたらいかがでしょう。

Q.家庭学習が大切だということはよく認識していますが、実際に学習を進めるにあたって、子ども(小3)がぐずったり嫌がったりすることがあります。そんな時には、親としてどのような対応をすればいいのでしょうか?

A.ぐずったり、嫌がったりした時に、とにかくほめればいい、ほめればモチベーションが上がって取り組むようになるだろうというアドバイスがありますが、それではうまくいかないと思います。できてもいないし、やろうともしていないのに、ただほめたらそのうちにやる気が芽生えて自然と取り組むようになるだろうというのは、浅はかな考えです。

 大切なことは、親として子育ての基本がぶれないことです。基本とは、何度も強調している通り、いまやるべきことは何かを子どもに確認させ、それをやり遂げさせるように一歩一歩導くことです。

 具体的な工夫として、一度にすべてをやらせようとせずに、「今日はここまでやってごらん」と伝えることも大切です。できないと子どもには自信が生まれませんので、その日は「できそうだな」と思える部分だけでも取り組ませ、結果をしっかり見届け、実際に取り組めたらほめる、そして「やり遂げた」「できた」という自信を持たせ、それを積み上げていくようにしましょう。そのプロセスは、応じる姿勢を身につけさせることにもつながっています。子育てといっても、大人が会社で仕事に取り組む、あるいは部下に仕事を任せる、そのケースと基本的な違いはないと考えておくといいと思います。

 子育てでは、子どもがぐずったり嫌がったり……と、つい子どもの態度ばかりに気が向きがちですが、たいていの場合、親の態度のほうにも改めるべき課題があります。子どもへの言い方がお友だち口調やお願いモードになったり、親の対応がその時々で変わっていたら、子どもはすかさずそこを見ぬいて、気持ちも行動も自分本位になり、不安定になりやすいと言えます。そこで、子どもに指示するときは、「です」「ます」と毅然と伝えるとともに、私たち親自身の姿勢がぶれないこと、これが肝要かと思います。


ページの上部へ