エルベテーク
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季刊誌―エルベテーク

2019年 春季号 巻頭言 家族みんなで力を合わせる

弟を思うお姉さん2 人の手記から

「兄弟・姉妹」について

 発達上の課題を抱えた子どもの兄弟への接し方・育て方に頭を悩ませている親は少なくないようです。もちろん、その兄弟自身も、兄弟のハンディをどう受け止め、どう自分は対処していくべきかと考えています。このように、ハンディを抱えた子どもの教育だけではなく、当たり前のことですが、同時にその兄弟姉妹にも目を向ける必要があるようです。
 では、どうすればいいのでしょうか。これまでの教室での実例から言えることは次の3つです。
① まずは、ハンディを抱えた子どもに対する効果的な指導の仕方を知り実践して、子ども自身に力をつけ、課題が少しずつ改善されていくようにすること。
② その事実を通して、親と家族みんなが、兄弟の成長の道筋・見通しを立てられること。
③ ハンディを抱えた子どもの兄弟たちの生活態度を見ながら、節目節目において1 対1 で、子どもに協力を感謝しつつ、子どもの思いを聞き出すような話し合いをもつこと。
 皆さまもご存じのように、私たちの教室には兄弟姉妹が一緒に通っている(学ぶコースは異なりますが)ケースが少なくありません。ご両親をはじめ、ご家族の皆さんが教育方針を共有している環境があるからこそと感じています。私たち大人が目指すべきは、上記の3 つのポイントを実践することにより、家族全体が認識を一つにして同じ方向へ向かいながら子どもの成長・自立に向けて一致協力する、そんな状況をつくりあげることではないでしょうか。

親の努力する姿は必ず子どもに伝わる

 とはいえ、簡単なことではないでしょう。それを念頭に置き、最初の段階としてまず家族みんなが時間をつくって話し合い、兄弟姉妹の中に「発達の遅れ」がある事実を共有すべきです。それを「家族だからわかってくれるはず……」との理由から事実を曖昧にしたり、先延ばししていてはうまくいきません。そして、その面倒なやりとりから逃げずに「家族としてどうすべきか」を話し合い、親の気持ちをしっかり伝え、「このように接していこう」と親には明るく前向きな姿勢が求められます。そうすると次第に家族としての一体感が生まれてくるのではないでしょうか。
 前号で紹介したM さん(弟と一緒に教室に通ったこともある、現在、25 歳の社会人です)の言葉(昨年12月のセミナー開催に合わせてお願いしたものです)の中に、社会人となった弟(現在、21歳)の成長を振り返った、こんな文章がありました。
 「真面目に努力をし、出来る事が徐々に増えていく弟が可愛くて仕方がありませんでした」「上手く感情が伝わらないことで、モヤモヤしたりイライラすることもあると思いますが、仕事でも甘えずにコツコツ努力を続けられる真面目な弟を素晴らしい子だと思っていますし、私自身頑張らないと、と励みになっています」
 当初、ハンディのある弟のほうばかりに親の愛情が注がれているように感じていたにもかかわらず、一生懸命努力する弟の姿に素直に目が向けられるようになったのは、やはり親の努力する姿勢が伝わったからだと思います。M さんは「弟のことで悩むことも多い中、母は私の習い事の送り迎えや勉強の手伝いなどに尽くしてくれ、しっかりと愛情を感じていました。そんな母を一番に尊敬しています」とも書いています。
 先日、やはり、弟思いのお姉さんのS さん(22歳)から弟についての思いを記した次のような手記が寄せられました。味わい深い内容ですので、ご紹介したいと思います。

 「2 歳下の弟の問題が成長しても直らないと意識したのは、私が小学5 年生くらいのことだったと思います。でも、普通と違うから『嫌い』とか『近くにいてほしくない』とか、そんなことはなく、今まで家族として過ごす上で不都合を感じたことはありません。確かに、弟は他人とコミュニケーションを取るのが苦手ですが、私は彼が何を言いたいのかはだいたい分かります。それに、私よりもずっと努力家で、できないことをできるようになろうと頑張っていますし、とても優しくて、誰かを傷つけようとしたことなど一度もないと思います。今は毎日施設に通っていますが、帰りのお迎えに誰が来て欲しいかを聞くと、必ず『お姉ちゃん』と言ってくれます。
 私は、弟が障害を持っているからと言って何もさせないのではなく、できることを見つけて、それに挑戦させてあげられるようにしたいといつも考えています。
 私は昔から弟の学校を訪ねるのが好きで、イベントの手伝いやボランティアとして特別支援学級、特別支援学校に出入りしていました。弟のクラスメートや下級生とも多くの関わりができて、それをきっかけに特別支援学校の先生になりたいと思うようになりました。大学では、このためのコースを選び、免許を取ることができました。この4月から、都内の特別支援学校に勤務する予定です。
 私にとって弟の存在は大きいですし、弟には感謝の気持ちでいっぱいです。これからも、たった二人の姉弟として、支え合いながら過ごしていきたいと考えています」

 弟さんは3 歳から高校まで私たちの教室で学びました。また、姉のS さんも弟と一緒に「就学前コース・小学ゼミ(現在のアドバンスメントクラス)」で長い間、学習しました。いま、一人の大人として「努力する姿」をきちんと評価できるようになったことは本当に頼もしいと思います。
 家族みんなで力を合わせる、つまり、家族みんながそれぞれの立場で努力する、それが「兄弟姉妹の問題」を解決する出発点になるだろうと思います。


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