エルベテーク
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季刊誌―エルベテーク

2012年 夏季号 巻頭言 「あきらめない」から生まれる、揺るぎない親の気持ち

 さる4月14日に勉強会(第4回)を開催しましたので、今回もその報告をいたします。

 今回は、昨年のシンポジウムで発表されたSさんをお迎えして、年少の10月から今年3月までSくん(現在、高校1年生)を学習させてきた経緯、特に親の役割と家庭学習の効果的な進め方を中心に話していただきました。

 Sくんは3歳の時に「広汎性発達障害」という診断を受け、その後、通園施設に1年半通っていました。しかし、言葉は出てもなかなか会話に結びつかない(おうむ返しばかり)という状況を改められないことに不安と疑問を感じたSさんは、学習を通して子どもに教科や生活面でさまざまなルールやマナー、知識を教えようという、私たちの教室の指導に共感して、以後、11年半の長期間にわたり、教室で家庭で学校で必要な学習をひとつずつ積み重ねてきました。

 「この4月、人生初の受験を経て、ようやく高校入学となりました。本人も『中学よりも楽しい』と言って通ってくれています」というのが勉強会での最初のSさんの言葉でした。

 Sさんのお話で印象的だったのは、子どもを学習に取り組ませる親の安定した姿勢が鍵を握るという事実でした。Sさんは「親が安定していないと、子どもはすぐ見抜きます。やはり、親がここと決めたら信じて通わせてみる(指導を受けさせ続けてみる)、というのが、いまにしてみれば、大事だった気がします」という言い方をされ、エルベテークでの学習が支えになったことを紹介されました。

 このような、揺るぎない親の気持ちこそが本当の意味で子どもの成長を後押しするのだということを再確認された保護者の方も多かったのではないでしょうか。揺るぎない親の気持ちは、家庭学習の進め方にも現れます。Sさんは息子さんが学校から帰宅すると学校の宿題とエルベテークの宿題に取り組ませました。国語については、特に漢字の筆順を守ること、丁寧に書くことに注意したそうです。「1文字目はきれいなんですが、2文字目3文字目となってくるとどんどん崩れてきて、いつのまにか筆順まで違っていたりするんですね。ですから、そういう時には『ちょっと待って』と止めて、『最初の文字を見て。ぜんぜん違うと思わない?』と言いました。『これ、だめだよね』と言って、だめな文字はすべて消しました」ということです。

 親としては「きれいな文字が書けるように」と思いがちですが、本当に大切なのは手本を参考に文字を正しく書く、文字の形や大きさ、筆順をしっかり守るということです。その学習の蓄積が日常生活のルールを守る習慣につながりますが、Sさんは息子さんの自分本位の気持ちにけっして流されず、揺るぎない気持ちで家庭学習にあたりました。「あなたに間違えて覚えてもらっては困る。だから、お母さんがいるの。一緒に学習しないといけないでしょう」と言い、親の役割を伝えてきたそうです。不得意なことだけでなく得意なことを臨機応変に組み合わせることによって、息子さんの我慢強さとやる気を引き出し、やがて息子さんは自ら手ごたえを感じるようになったと思われます。

 「やはり、子どもというのは親の気持ちに敏感なんですね。そこで親がひるんでしまうと、『これはいける』と思ってしまうのが子どもです。ですから、ひるむことなく、『ここはお母さんは絶対に曲げない』というのを、言葉でもそうですが、気持ちでも子どもに伝えるということが大事なんじゃないかなと私は思いました」というのがSさんの実感です。

 ところで、学習を始めてまもない保護者の中には、Sさんのように強い気持ちをもつことについて懸念を抱く方もいるようです。出席者から「一生懸命努力していると、歪んだ性格になるのではないですか」という質問がありました。その答はSさんの「親が怒ったからではなく、親の気持ちがぶれてしまうと、子どもは不安になるんじゃないかなと思うんですね」「たぶん皆さんのお子さんもそうじゃないかと思いますが、私の息子も素直で真面目な性格な子どもです」といった言葉に端的に現れています。「一生懸命に学習に取り組ませると、歪んだ性格になる」というのは、実際に取り組ませたことのない人たちの誤解だということです。

 このほか、Sさんからは、学校側との信頼関係づくりをめざし、「親として息子に対してこんなに一生懸命なんです」「先生を信じて、全面的に協力します」などの誠意を担任に伝えてきたエピソードなどが語られましたが、いずれも説得力に満ちたものでした。


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