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指導事例

指導事例

Rくん 特別支援学校高等部3年生 (年中の9月入会 広汎性発達障害)

「社会的な能力を向上させる」一貫した指導のもと、社会人になる息子

診断後の療育と幼稚園生活

 長男(3人兄弟)は1歳半で言葉が遅いと言われ、2 歳で2語文が話せず、集団遊びができませんでした。必ず決まった道を通ることにこだわり、違う道を行こうとすると強い拒否反応を示すことは特に記憶に残っています。
 私が公務員で医療関係の仕事をしていることもあり、小児医療のナショナルセンターである国立成育医療センターを受診し、そこで「広汎性発達障害」の診断を受けました。息子のわがままや親のしつけが原因で言葉が話せないのではなく、先天的に脳に異常があり、他人に興味がなく、コミュニケーションが取れないことがわかりました。
 そこで、区から通園グループ指導を受けることができると言われ、区の療育施設であるこども発達支援センターに通うこととなりました。1 年間グループ指導を受けましたが、他人に興味がなく、食事など必要な時以外は自ら話すような行動が見られませんでした。
 支援センターで手厚い指導を受けても言葉が話せるようにならない状況を踏まえ、障害のない子どもたちの中で刺激を受けて生活することが必要だと考え「2年制の幼稚園に行くために区立幼稚園に行きたい」と区へ相談し、隣の学区の区立幼稚園に行くことにしました。
 幼稚園では、女性の補助者の方からとても丁寧なフォローアップを受けましたが、先生との相性もあり、優しい先生からは自由にさせてもらった行動を、厳しい先生からは注意を受けるなど、息子には集団生活の中でどこまでが許される行動であるのかを理解することが難しいようでした。補助者がいるにも関わらず、目の前の様々な課題を解決することができず、息子は社会で生きていくことができるようになるのだろうかと真剣に悩むようになりました。
 息子の言葉が発達しない原因は実は病気なのではないのか、個別に教育を受ければ状況が改善するのかもしれないなど、色々と考えるうちに一体どうすれば良いのかわからなくなりましたが、親の責任でできることは全部挑戦しようと腹を決め、どうすれば息子が社会で生きていけるようになるのかを、より一層深く考えるようになりました。

希望をもつことができたエルベテークとの出会い

 インターネットで調べることはもちろん、関係する書籍などを何十冊と読んでいるうちに、一冊の本を見つけました。『自閉症の子を持って』という本です。新聞記者である武部隆さんが自閉症のわが子のことを書いた本でしたが、とても共感できる内容で、自閉症児を教える学習塾エルベテークに通ったことが書いてありました。今でこそ自閉症児を教えるという学習塾が色々とありますが、当時はそんなに多くはなく、学習塾に息子の教育を頼むというイメージもなかったのですが、選択肢がありません。私は、藁をもつかむ気持ちでエルベテークに電話をかけました。
 予約した日に相談に行くと、河野代表と担当の先生が親切に対応してくれました。私たち夫婦の希望と不安が入り混じった気持ちを本当によく理解していただき、「ハンディのある子どもも、ない子どもも教育の方法は同じです。お子さまの指導については我々に任せてください」と自信を持って言われたことは、今でも覚えています。
 都内から埼玉県の川口市までは決して近くありませんし、1回80 分の指導で何ができるのか、何が変わるのか、最初は半信半疑でしたが、指導を何回か受けているうちに、びっくりする出来事が起きました。なんと、息子が先生と目を合わせ、背筋を伸ばし緊張感を持って挨拶をしているではありませんか。私が大きな声で叱っても全く行動が変わらなかった息子が、何も言われていないのに緊張感を持って学習に臨んでいる。私にはとても衝撃的でした。先生は驚いている私にモニターで指導内容をリアルタイムで見せてくれました。大声で怒るようなことは全くなく、数回の指導で信頼関係を築き、目が合うようになってからは、してはいけないことをやった時は「しません」と指導し、しなくてはいけないことをやることができれば「それで良いです」と、短い言葉で的確な指導を行っていました。
 
 エルベテークに通い始めたのは、年中の9月ですので、今から約13 年前のことです。エルベテークに出会い、ハンディのある子どもも教育によって変わっていくことができることを知って、息子の人生に小さな希望を持つことができたことは本当に幸せなことでした。

周りに助けられながら過ごした小学校・中学校生活

 小学校入学前の5 歳7カ月の時、田中ビネー式知能検査において、精神年齢4 歳4カ月、知能指数78で発達の凹凸があり、視覚・運動優位、言語概念形成がゆっくりで言語教示のみから教示意図を理解することは困難であるとの評価を受けました。しかし、エルベテークと相談し、個別の支援がほとんどない社会に出た際には、自立して生活する必要があり、今の状態からすると小学校で普通学級に行くことは息子の大きな力になるという考えに共感して、小学校は普通学級に行くことにしました。
 就学相談を経て学校とも事前に相談していたので、定期的に校長先生や担任の先生と面談の機会を設けてくれ、個別の課題についても学校と家庭が協力して対応することができました。担任の先生方はとても大変だったと思いますが、全体への指示で通じない時には個別に指示を行うなどの配慮があり、小学校生活は基本的には安定した環境で過ごすことができました。何か問題が生じた際には、すぐにエルベテークに相談して的確なアドバイスを貰い、学校の先生方と率直に話せる環境にあったことが良かったのだと思います。
 中学校については、小学校生活が比較的安定した環境で過ごすことができたことを踏まえ、エルベテークや区とも相談し、引き続き普通学級に行くことにしました。
 区や学校と事前に相談すると、3 年間担任が変わらない中学校において、熱意と能力のある中堅の女性教員を担任として配置してくれました。大変優秀な先生で本当に3年間よくやっていただいたと深く感謝しています。しかし、中学校は担任がほぼ全教科を教える小学校と違って、教科によって教える教員が異なります。全教科の先生方と個別に面談することは難しく、担任の先生を通じ、全体への指示が息子に通じない時には個別に指示を行うなどの配慮をお願いするものの、それがどこまで徹底されているかを把握できず、息子の個別の課題をリアルタイムに共有できないことは小学校と大きく異なる環境でした。
 中学校に入学後1カ月が経った時、学校からの強い勧めもあり、ウェクスラー式知能検査を受けました。全般的な知的水準については概ね100で平均でしたが、視覚的な情報を事務的に数多く正確に処理していく能力は非常に優れている半面、言語的な情報や知識を状況に合わせて応用する言語理解の働きが弱く、学校生活上の言語コミュニケーションや学習面での理解が困難であるという結果でした。
 
 中学生になって息子も自我が強くなり、他の生徒に助けられすぎることを嫌って、大声を出してしまうことが何度もあったようですし、違う学年の生徒から馬鹿にされてからかわれるなど、色々とトラブルはありましたが、担任の先生がいつも明るく前向きに息子をフォローし、周りの生徒達も協力して気にかけてくれましたので、息子が中学校に行きたくないと言ったことは一度もなく、修学旅行などを含め、すべての行事に参加することができました。卒業式の時、担任の先生が「R 君のことは一生忘れないと思います。それほど自分の教員生活の中でインパクトのある、意味のある3 年間でした」と笑顔で語ってくれたことは忘れられません。

特別支援学校での大きな成果

 良い担任の先生と出会い安定した生活を過ごせた中学校生活でしたが、勉強の面でなかなかついていくことができなかったため、大学への進学は諦め、卒業後に企業への就職が実現できるよう、高等特別支援学校の就業技術科への進学を目指すことにしました。高等特別支援学校の就業技術科は企業への就労を目的にカリキュラムが組まれており、就業技術科の企業就労割合は90%を超えているため、定員より応募が多い学校が多く、選考に合格しないと進学できません。第1 希望の学校は、100 名の定員に対して140 名程度の応募者がいる状況であり、合格に向けてエルベテークで指導を受け、適性検査と面接に十分対応できるような実力をつけて臨んだ入学者選考でしたが、結果は不合格でした。
 なぜ不合格であったのかを知りたいと思い入学者選考の得点開示請求を行いましたが、適性検査は400 点中9 割を超える得点、面接試験の点数が400 点中1 割の点数でした。親子ともに大変悔しい想いをした就業技術科へのチャレンジでしたが、なぜ不合格であったかを考えても意味はありません。この悔しさを糧にして、特別支援学校の普通科から企業就労できるようしっかり頑張ろうと決意を新たにしました。
 悔しい想いを抱いて入学した特別支援学校でしたが、中学校までの生徒40 人に教員1 人という体制で授業を受けていた状況とは異なり、生徒8 人に教員2 人が配置されるという手厚い体制の中、全体への指示がよくわかり息子に少し余裕ができたのか、教員から言われたことを積極的に自分が行うというリーダーシップの意識が芽生えるとともに、教員も、息子個人のことだけではなく、体育の後の道具の片付けなど、教員か誰かがやらなければならない仕事を息子にお願いしてくれるようになりました。
 中学校では他の生徒が気を使って自分を助けてくれることに、息子は「自分でしっかりやりたい」という不満を爆発させていましたので、自分のことを自分でやり、先生からの指示で他のみんながやらないことをやるという環境は、息子にとって非常に良い刺激となったようです。
 特別支援学校に入ってからは、エルベテークから、他人が今どのような気持ちなのかを理解しようとする行動が増え、勉強面だけでなく、コミュニケーション能力が格段に向上していると評価され、家庭においても、親兄弟のことに興味を持ち、どこに何のために出かけるのか、それがどのような結果だったのかなどを聞いてくるようになるなど、息子の成長を実感できるようになりました。これは、「社会に出た際には個別の支援がほとんどない中で自立して生活する必要があり、普通学級でハンディのない生徒達と一緒に生活することで息子の社会的な能力を向上させることができる」というエルベテークの一貫した考えに共感し、エルベテークで毎週指導を受けながら、小学校と中学校を普通学級で過ごした経験が生かされた結果であると確信しています。

現場実習の課題を克服して就職へ

 就職活動については、親子ともに企業就労できるよう頑張りたいと思っていましたので、普通科は就業技術科のように職業訓練に関する学習時間は多くありませんが、少ない職業訓練の時間を大切に息子は一生懸命取り組んでいました。実質的な現場実習が始まる高校2 年生の夏祭りの時に、突然、進路担当の先生から、卒業生の就職実績もある鉄道関係の特例子会社に挑戦してみないかと言われました。息子は食品関係の仕事を第1 希望にしていたのですが、これも何かのご縁だと感じ、息子も納得の上で挑戦することにしました。
 現場実習では、1 回の実習につき3 人のリーダーの下で実習を行い、その3 人それぞれの評価を総合して実習の合否が決まる仕組みになっていました。2 週間の現場実習が、高校2 年生で1 回、3 年生で2 回の合計3 回行われるのですが、1度でも不合格となるとその時点で就職試験は終わってしまいます。
 1 回目の現場実習では、実習に取り組む姿勢や仕事への意欲を高く評価してくれるリーダーもいて、何とか合格することができました。
 
 2 回目の現場実習は、リーダーの指示を最後まで聞かず、指示されたやり方とは異なる方法で作業をしてしまったこと、リーダーが携帯電話を使っている時に、断りもなく携帯電話の画面を横から見てしまうこと、6 人チームの他のメンバーと会話をするなどのコミュニケーションがほとんどないことなどの課題を指摘され、評価表には「次の実習では課題に対する取り組みを厳しく評価する」旨が記載されており、事実上の不合格判定なのかとも思ってしまうほど厳しい評価結果でしたが、前回の実習に比べて改善していることが多いことなど、息子の仕事ぶりを高く評価してくれるリーダーがいて、何とか合格することができました。
 2 回目の実習での厳しい評価を受けて相当な危機感を持ったのか、学校限りの2 回目の実習の評価表を、3 回目の実習の前に担任の先生に見せて欲しいと息子自ら依頼し、前回どんな課題があるかを再確認していました。「今までそんなことを聞きに来た生徒はいない」と担任の先生が驚いていました。現場実習での課題を克服しなければ合格できない、何としてでもここに就職したいという息子の強い思いがよくわかり、エルベテークで指摘された課題を徹底的に指導していただくとともに、家庭でも徹底して訓練を行いました。
 3 回目の現場実習については、前の2 回の事業所とは異なる事業所で実習を受けることとなりましたが、今までの課題を克服し、合格への強い意志を持って臨むことができました。リーダーの指示を最後まで聞くこと、リーダーの携帯電話や業務日誌への記載を勝手に見ないこと、他のメンバーに話しかけるなど会社内でのコミュニケーションを図ることなどの課題を克服し、この会社で働きたいという強い思いを持っていることなどが評価され、幹部職員による最終面接を経て、11月に念願の内定をいただくことができました。
 エルベテークに出会い、その教育法を信じて13 年間地道に指導を受け、息子が社会で生きていく力を少しずつ育んできた努力が、このような結果となって表れたことは本当に良かったと思います。指導していただいたエルベテークの先生方も喜んでくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。しっかり仕事に取り組んで社会人として自立して生きていけるよう、引き続き親として息子を応援してまいります。

エルベテークの卒業生と一緒に働いて

 話は変わりますが、3 年前、障害者雇用でエルベテークの卒業生M 君が面接試験など合格して、私の部署で採用され、半年ほど一緒に仕事をしました。仕事に一生懸命取り組む姿勢とあいさつや返事などから周囲のみんなが彼の力を認め応援していました。現在、私は別の職場に出向しているため、M君と一緒に仕事はしていませんが、現在の関係者からはM 君が職場に馴染んでよくやってくれていると聞いており、とても嬉しく思っています。障害者を子どもに持つものとして、今後とも、障害者雇用の推進や障害者が働きやすい環境整備などに協力してまいりたいと考えています。


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