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指導事例

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Yさん 小学6年生 (年長7月入会 発達遅滞)

「できないのは知らないからで、教えてあげればいい」という言葉の持つ意味

「時期が来れば大丈夫だ」と言われ続けた日々

 息子は言葉の遅い子でした。かといって、全然しゃべらないという訳でもありませんでした。一人っ子だし、幼稚園に行き始めれば、いろいろな言葉を覚えてくるから大丈夫、そう思っていました。また、息子はとても落ち着きのない子供でした。ひとつのおもちゃで遊び続けることはあまりなく、次々と目についた物で遊んでいました。近所の公民館での子育てサークルに参加しても、紙芝居を最後までひざの上で聞いていることは出来なかったし、音楽に合わせて体操をする時も、ひとりで輪から外れて好き勝手に走り回っていました。
しかし、少し落ち着きはないけれど、男の子だし、元気だし、幼稚園に入って集団生活が始まれば自然と変わってくるのだろう、と思っていました。入園してからも、少しずつは成長していましたが、やはり周りの子に比べてしまうと、落ち着きのない、あまり会話のできない子供のままでした。 心配になり、市の発達相談を受けて、年少の頃から市の療育機関に通い始めました。そこでは「言葉は増えてきているし、少しずつでいいので座っていられる時間を長くしていきましょう。見守っていきましょう」と言われました。 療育は月に2回程度、幼稚園と同じような内容を幼稚園より少ない人数で行い、「今日は1~2分間座って絵を書くことができました」「今日は1~3分間座って工作ができましたよ」と毎回報告をしていただきました。果たしてこんな状態でも成長していることになるのかどうか、何の実感も確信も持てないまま、「時期がくれば大丈夫だ」と言われ続け、「その時期」が来るのをひたすら待っていました。 ところが、年長になる頃、そろそろ小学校への入学が見えてきたのに、期待していたほどには成長していない我が子にあせりを感じ始めました。周りのお友達は、幼稚園での出来事を上手にお母さんに報告しているのに対し、息子は言葉が少なく、頼りなく思えました。また、このまま入学したとしても、30人くらいの大勢の中で、離席をせずに授業をちゃんと聞くことができるとは、どうしても思えませんでした。そして、通っている療育の方から、「就学相談を受けたらどうか、医療機関を受診して小学校の入学先についても考えた方がいいのではないか」と助言がありましたが、私たちはどうすることが一番いいのか決めかねていました。

親が何をすべきか、それがわかった

 そんな時、同じ療育に通っている方からの情報でエルベテークを知りました。年長の夏、最初の指導相談会の時、息子が40分ぐらい離席をせずに先生の指導を受けているのには驚きました。そして、入会してから1回目の学習の時に80分間の長時間座っていられたと聞き、心底びっくりしました。まさか絶対にあり得ないことだと信じられませんでした。 そこで、どうしてそのように学習中座っていることができたのかとお聞きすると、代表は「しっかり目を見て、立ち上がってはいけないと伝えるだけです」と、おっしゃいました。そして、「息子さんは座っていられないわけでなく、離席をしてはいけないということを知らないだけです。だから、離席をしてはいけないということだけを、しっかりと目を見て教えてあげてください」と言葉を続けられました。それまでは通っている療育でも、発達に関する本にも、禁止するのではなく、出来たことをほめてあげてください、と言われてきましたので、しばらく言葉の意味が理解できませんでした。今まで言われてきた接し方とはまったく異なっていたのでした。 「できないのは知らないからなので、教えてあげればいい」この言葉は、その後の生活の中で、大きな意味を持つ言葉になりました。何をすればいいのかわからない状態から一転、親は教えてあげればいいのだと、やるべきことが明確になりました。生活においても、してはいけないことは、しっかりと目を見ながら「してはいけない」と教えてあげればいいし、しなくてはならないことは、何をするべきかということだけを、しっかりと目を見て教えてあげればいい。学習においても、ひらがなが書けないのではなく、これから教えてあげればいい。そのような考え方に心から納得できました。 座っているのが嫌で嫌で仕方がない訳でも、動きたくて動きたくてたまらない訳でもない、離席をしてはいけないというルールを、まだ知らないのだと考えられるようになると、気持もとても楽になりました。今できないことばかりに目を向けて不安になるのではなく、これから何でもできるようになると、息子の成長を信じて、ひとつひとつ教え続けていけば大丈夫だと思えるようになりました。 エルベテーク1回目の学習報告レポートに「相手の目を見て最後まで聞くこと、返事をすること、体を動かさずに待つことを守らせながら学習を進めました。視線を合わせて返事をするまで見届けるようにしてください」など先生からのアドバイスがあり、親として何をすべきかポイントがよくわかり、すっきりした前向きな明るい気持ちになったことが思い出されます。 
当たり前のことが当たり前にできる大人へ
 そして、小学校の入学式の日に担任の先生に、事前にエルベテークに相談してまとめたレポート「指導上ご配慮いただきたい点について」をお渡し、ご協力をお願いするとともに、「何事も一度や二度ではなかなかできるようにはならないけれど、学校でできない時は、家でも何度でも練習するので必ずできるようになります。してはいけないこと、しなくてはならないことはきっぱりと注意してください」とお伝えました。 その結果、最も心配していた授業中の離席は一度もありませんでした。細かなことでは、元来の不器用さに加え、左利きの不便さもあり、鍵盤ハーモニカやリコーダー、書道などの授業は、息子にとってはことごとく大きな壁になり、その度に親子とも非常に苦労しました。あらかじめわかっている内容については、早めに家で練習したり、担任の先生にも早めに連絡いただくなどして、何度も練習するようにしました。 また、エルベテークで行われた春・夏・冬休みの学習会、5年からは中学準備講座に参加しました。一対一ではできても、集団のなかでの学習姿勢、たとえば先生の話を聞く姿勢、声の大きさ、椅子に座っている姿勢などのグループ学習での細かな様子と評価を結果報告書で見ると、エルベテークでこの状態なら、学校ではもっとできていないと考えて、家でもどこに気をつけたらよいのかがよくわかりました。個別報告書の20を超える項目の評価を読むと納得できることばかりでした。 息子が4年生の時、春休みに入った頃だったと思います。川口の教室に、たまたま高校の成績表を持っていらしていた羽山さん(エルベテークの卒業生で現在はエルベテークの先生として指導中)とお母様とお話をさせていただく機会がありました。羽山さんご自身の小学校の頃の勉強の仕方として、「とにかくできるまでやる。漢字でも何でも、とにかくできるまでは、何時になっても何回でも何十回でも繰り返しました」とおっしゃいました。そして、お母様からは、子供を信じて見守る強い気持ちを感じました。そして、羽山さんが優秀なことにも、もちろん驚きましたが、それ以上に、ふさわしい言葉かわかりませんが、ちゃんとしていらっしゃる様子に驚きました。羽山先生は、ちゃんと挨拶ができて、ちゃんと自分の考えを自分の言葉で伝えられて、ちゃんとご両親を尊敬し感謝している好青年でした。してはいけないことは、してはいけないと教える。逆に、しなければならないことは、させなければいけない。子供は必ずできるようになると信じる。日頃エルベテークで教えていただいていることを実感する、印象的な出来事でした。あらためて、息子も当たり前のことが当たり前にできる、そんな大人になって欲しいと心から思いました。

繰り返し練習すればできるようになる

 これから中学生になると、すべての面において時間をかけて繰り返し繰り返し練習するというわけにもいかなくなると思いますし、できるわけがありません。そこで、生活面においても、学習面においても、優先順位をつけることが大切になってくると思います。どのように順位をつけていくか、間違えてしまうのではないか不安だらけですが、中学準備講座に参加して子どもは力をつけて、親は懇談会でお話を聞いて、何が大事なのか確認して方針がブレないようにしていきたいと思います。 今回このレポートを書くに当たり息子に小学校6年間で一番辛かったことは何か聞いてみました。すると、「リコーダー」と言いかけて、「でもできたから、やっぱり辛くなかった。小学校は楽しかった」と言い直しました。その時その時は大変だったことも、無駄ではなかったと思える嬉しい言葉でした。 中学校ではもっと大変なことがあるでしょう、これからも大きな壁にぶつかるでしょうが、これまで学んで身に付けた「努力して、繰り返し練習すれば何でもできるようになるという自信」をもって乗り切ってほしいと思っています。これからもエルベの先生方に助けていただきながらになりますが、親子でがんばります。


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