エルベテーク
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指導事例

指導事例

Nさん 社会人 (小2から中3まで学習指導室で学習 自閉傾向)のお母様より

就職と花束と成長と-これまでを振り返って- 障害を乗り越えてきた長い道のり

 息子は現在22歳です。今年4月より一般企業に就職し、毎朝笑顔で元気に出勤しております。初月給を頂いた日の帰り、息子は夫と私に大きな花束を買って帰宅しました。今まで応援し続けてくれたこと、そして今の自分があるのは私たち両親のお陰であることへの感謝の気持ちを表した手紙と共に。
 綺麗な花も大変嬉しかったのですが、何より息子が自分の周りの人を気遣い、その気持ちを表現できるまでに成長したことに大きな喜びを感じました。その少し前のことでしたが、息子が河野代表と先生に就職の報告へ行きたいと言い、自ら手土産を買いエルベテークへご挨拶に伺いました。幼少の頃からコミュニケーションが苦手で、家族以外の人との接触にはとても消極的な子でしたので、この出来事も息子の成長として私を驚かせました。
 今、こうして私たちが毎朝安心して息子を送り出せるようになるまでは長い道のりで、いくつもの障害を乗り越えてきました。2歳になっても言葉の極端に少ない息子に不安を感じながらの子育て。幼稚園に入園しても周りについて行くのは難しい状況で、市の療育機関に月2回ほど通っていました。そちらの勧めで就学相談を経てどうにか普通学級に入学したものの、コミュニケーションの力の弱さから友だちが出来ないことは勿論、学習が始まると漢字は覚えられない、数の概念は理解できず……の状況でした。週末に夫が息子に付きっきりで学習をみるような日々でしたが、いくら教えても漢数字の「二」さえ書けず、親子だけではこの先うまくはいかないと不安を感じ始め、第三者の手を借りることを考えました。 そして、数年前にエルベテークから送ってもらった案内に目が留まりました。学習に不可欠な「見る力」「聞く力」を育てることで話す力、読み書きの力へ導くという内容です。その時の私たち夫婦の不安を一気に吹き消してくれるようでした。そして指導相談会を経て入会となりました。息子は当時小学2年生でした。その後中学3年生までエルベテークにお世話になりました。エルベテーク終了後も、息子の節目には私の方から報告をしたり、時には息子の進路に関して相談にのっていただきながら、エルベテークとの関係が絶えることはありませんでした。子どもの習い事は、どうしてもその場限りのお付き合いになりがちですが、こうして15年という長い期間に渡り子どものことを真剣に考えて下さる教室はとても少ないと思います。

いくつかの壁にぶつかりながらも

 エルベテーク入会後は徐々に力をつけ、出来ることが増えていきました。5年生になると放課後はクラスの友だちと公園で遊ぶようになりました。エルベテークからのアドバイス通り学校との関係をうまく保ちながら、大きなトラブルもなく小学校生活を過ごしました。ところが5年生の時、小学校に月2回ほど巡回する教育相談員の相談を受けたことから病院で発達検査をする流れになりました。当時の息子は成長しつつあったものの、聞く力や文章を読んで理解し問題に答える力がまだまだ不十分でしたので、思うような結果が出ないことは明らかでした。その結果が知能指数という形で出されてしまうのです。病院の先生、心理士さんからはこの先普通学級に居るのは本人のストレスになる、普通学級に在籍するなら、週に1、2日休ませて好きなことをさせたほうが良い、などという助言を受けました。 私はそれまでは余り頻繁に相談に行かない親でしたが、その時ばかりは目の前が真っ暗になり、夫と二人でエルベテークへ相談に駆け込みました。その時の代表の「N君はこれから先もずっと普通学級でやって行けるお子さんです」の言葉は私たちの背中を強く押して下さるものになりました。あの言葉がなければ、今の息子はなかったのではとさえ思います。一時の周囲からの間違った情報や助言で子どもの一生を大きく変えてしまうことも実際あるのです。 こうしていくつかの壁にぶつかりながらも無事小学校生活を終え中学校へ進学しました。学習が各教科制となることが中学校では大きな変化です。必要なプリント類をしっかり保管できるか、宿題をきちんと提出できるか、テスト範囲を正確に把握し準備ができるかなど考え出したら不安は山積みです。しかし、大切なことは小学校までと変わらないのです。本人は出来る限りの力を示すことで先生や友人に認めてもらい援助の手を差し伸べてもらう。親は引き続き学校との関係を良好に保ち、保護者会、学校参観には積極的に参加すること、クラスのお母様から情報を共有させてもらうなどの努力をして何とか過ごしました。   

仕事をしながらも家庭学習をしっかりと援助

 最も大変だったことはやはり学習のフォローでした。中学に入学した途端、3年後の高校進学を意識していく必要がありました。息子はできれば推薦入試の形で進学するのが堅実だろうと考え、1年生の最初の定期テストから学習計画を立て一緒に乗り越えました。1年間で5回の定期テスト、それを高校3年生まで6年間、夫と二人で家庭学習の援助をし続けました。仕事をもち、下に娘もいますが、私の1年間は息子の定期テストを中心に流れて行くようでした(笑)。当然私たち以上に大変だったのは息子でしたが、既にエルベテークで学ぶ姿勢を身につけていただいていたので、歯を食いしばりついてきたのでしょう。辛くてもその先にある達成感や充実感、時には良い結果への喜びを息子は知っていたのだと思います。 ところで中学校に入学し間もない1年生の秋でしたが、掃除のことで息子がいじめにあいました。その際もエルベテークに相談し、学校との対応を手順よく進めることができ、私も感情的にならずに済みました。大きな問題を起こす訳でもなく、目立たず静かな息子でしたので、それまでは学校の先生方も余り目を向けてくれなかったようですが、そのことをきっかけに良い意味で学校側の姿勢も変わったと感じました。
 高校受験では何とか推薦入試に必要な評定を取り、その成績と面接試験のみで無事高校に進学しました。面接に備え、学校だけでなく、エルベテークや家庭で何度も面接の練習をしたことも今では良い思い出です。学習内容が高度になることを除けば、高校生活は中学校の延長のような感じで大きな変化もなく、また出来るだけ息子に合った学校を選びましたので、親子ともども比較的ゆったりした気持ちで過ごすことができたと思います。ただし、卒業後大学へ進学するならやはり指定校推薦が賢明だろうと考え、定期テストの勉強は真面目に続けました。

就職を目指した努力

 将来の職業に関してはどんなことがしたいのか、何が向いているのかなど親子三人で真剣に話し合い、大学で知識を学ぶより、実務的な技術を身につけ就職に役立てた方が良いだろうという結論になりました。幸い自宅から自転車で通える距離に公立の技術専門学校があり、そこで電気・空調などの国家資格を取得するため勉強することになりました。この入学に際しても、高校で一定の成績を取っていましたので、学科試験は免除、面接のみの試験で合格しました。高校時代もコツコツと学習を続けたことが無駄にはなりませんでした。専門学校での勉強は大変難しく、今までのように家庭で援助することは不可能でしたので、本人なりに復習、予習をして試験を受けていました。2年の間に国家資格を一つ取ることができました。この時取得した資格と、その後に取得した普通自動車運転免許は本人にとって大きな自信となったようです。 そんな中、あと1年ほどで成人という時に突然難病に襲われ、3ヶ月の入院生活を強いられました。この時も目の前が真っ暗になり、息子の将来はどうなるのだろうかと、悲しみ悩みました。しかし、薬の力で病気は快復し2年生から復学できました。人生は順風満帆とはいかないものです。専門学校も2年目になるとインターシップや就職活動で慌ただしい雰囲気となっていました。夫も私もこのまま学校に求人が来ている企業へ就職できれば、と安易に考えていました。 しかし、卒業まで残り僅かとなっても動きがありませんでしたので、2年間のお礼と就職のお願いを兼ねて学校を訪ねました。校長先生、担任の先生とお話ししたところ、息子のコミュニケーションの力や技術的な力を考えると企業への推薦は難しいとのことでした。また、今後の就職を考えるなら、市の福祉課で相談し手帳を取得したほうが良いのではと言われました。ずっと普通学級で学んできた息子が手帳を取得することは、考えたことがありませんでした。そこでまたエルベテークに相談しました。親子でどれだけ大変な思いをして普通学級で頑張ってきたのか、何故今手帳を取得しなければならないのか…私の胸の内をぶつけました。代表からは、「手帳は本人の弱い部分を社会に守ってもらうために利用すれば良い。必要なければ引き出しの奥にしまっておけば良い物、と割り切って考えてはどうか」との意見をいただきました。また、学生時代と一般社会との壁がとても厚いことは私たちも痛感しておりましたので、息子の将来を一番に考え、手帳を取得する選択をしました。それから3ヶ月程かかり療育手帳を取得しました。

指示を素直に受け入れる、粘り強く努力する、この姿勢があればこそ

 その間色々な方との面談を受けましたが、どこへ行っても「とても誠実で礼儀正しく好感が持てます」と褒めていただき、親として嬉しく思いました。エルベテークで学んだ姿勢は、コミュニケーションの中でもはっきりと表れ、多くの人に好かれる力なのだと実感しました。息子がエルベテークで教えていただいた力はこれから先も一生強い味方となってくれるはずです。 手帳取得後はより一層のコミュニケーションの向上や仕事上のルール、困った時の対処の仕方などを学ぶため、1日4時間の軽作業を行う県内の就労移行支援作業所に1年程通所しました。その間、1日でも行きたくないなどと言ったことはありませんでした。作業所へ通う傍ら、ハローワークや求人専門のウェブサイトに登録して就職活動を続け、何社かエントリーしているうちにようやく一社から面接の連絡をいただき、無事内定となりました。大手グループ会社の一つで、本社人事部に配属が決まったことはとても幸運なことでした。現在はまだ仕事を教えていただく一方ですが、今後は少しずつ社会人としての力をつけて会社に貢献できるような社員に成長して欲しいと心から願っています。 大変長くなりましたが、息子が今日まで歩んできた道には嬉しいことと同様大変なことも沢山ありました。しかし、その一つ一つを親子で乗り越えて今があるのです。その根底には、息子がいつでも指示を素直に受け入れ、辛いことでも弱音を吐かずに粘り強く努力する姿勢があったからだと思います。現在エルベテークに通われているすべての生徒さんがこの姿勢を学び、親子で前進して行かれることを願っております。


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