エルベテーク
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指導事例

指導事例

Tさん 年中(2歳4ヵ月入会 自閉スペクトラム症 発達遅滞)

日々の小さな積み重ねが
子どもと親の成長につながる

心配の種は、言葉の遅れと偏食

 私たち親子がエルベテークと出会うそもそものきっかけは、息子が1歳半の時にミルクアレルギーで入院していた大学病院で、主治医の先生から言われた一言でした。「1歳半にしては発する言葉が少なすぎます。何らかの発達障害があるはずなので、すぐに市の療育の予約を取ってください」それは私にとって衝撃の一言でした。言葉が少ないといってもまだ1歳6カ月。「ワンワン、ニャンニャン、ライオン等の単語が出ているのだから、これから言葉が増えるはず」との思いもあり、先生の言葉をすぐには受け入れることができませんでした。
 しかし次の瞬間、母が「○○君となかなか目が合わない」と言っていたことが頭をよぎりました。また、確かに「ワンワン」などの言葉は発するものの、いつも自信のなさそうな、か細い声であることも気になっていました。そして、少なかった言葉が更に減り、やがて何も話さなくなり、激しく人見知りするようになっていました。
 また、言葉以外にもう一つ心配の種がありました。それは、離乳食はおろか、食べ物を一口も口にしないということでした。何とか食べてほしいという切実な思いから、保健センターや栄養士の方に相談に行きましたが、「そのうち食べるようになる」との回答ばかりで私の悩みは解消されません。そんななか、息子が初めて口にした食べ物がフランスパンでした。
 これを皮切りに色々な食べ物を食べてくれるのではと期待しましたが、息子は何ヶ月たってもパン以外の食べ物を口に入れることを拒みました。しかも決まったお店のパン、それも自宅のトースターで焼いたものしか口にしないというこだわりぶりでした。
 「療育に行くなら早い方がいい。小さな頃から通った方が吸収がいいから」そう母から言われ、背中を押される感じで療育に通い始めました。市の療育は幼稚園のプレのようでした。歌に合わせて体を動かしたり、工作など。発語を直接促す内容ではなく不安になりました。既に同じような内容の幼稚園のプレに1年間通っても言葉が出ない状態でしたので言葉が出る子と同じ内容であることに疑問を抱きました。このままでは幼稚園に入園できないのではないかと私の不安は募る一方でした。

偏食の克服が大きな一歩

 そんなとき、姉からエルベテークの話を聞きました。姉の友人のお子様が通っていて、自閉症と診断を受けた子が言葉を話せるようになり、学業も優秀で大学に入学したとのことでした。私はすぐに代表の書いた著書を取り寄せて主人と読み、エルベテークに通えば息子は変わることができると確信し、相談会の予約を入れました。
 相談会での息子は終始大泣きで、泣き疲れて寝てしまうという有様でした。しかし先生は息子とのやり取りから「この子は何だって分かっています。でも、ものすごく頑固で応じない部分があり、育てにくさを感じるのだと思います」と仰いました。それは私が一番悩んでいたことでした。教えることの難しさを常に感じていたのです。自分がやりたいことでなくても、やるべきときに成し遂げる姿勢や応じる力を身につけさせたい、言葉を獲得させたい、という思いで息子が2歳4カ月のときに入会を決めました。
 偏食の克服が、私たち親子が成長する大きな一歩となりました。エルベテークに入会して2カ月が経とうとした頃、お弁当を持って行き、食事の練習をするようになりました。家ではパンしか食べない息子が、教室では野菜もお米も食べているのです!
 その姿に感動し、家でも実践するのですが、海老反りになって激しく抵抗し泣き出す始末。教室では食べるのに家では口を開かない、という状態が何度か繰り返された頃、先生から「母親でなくて誰がこの子に食べさせることができるのですか。食べさせたいという母親の思いは必ず子供に伝わります」と諭していただき、ハッと目が覚めました。
 家に帰るとすぐにストックしていたパンと、牛乳を飲むために使っていた哺乳瓶を捨て、食事をバランスよく食べられるようになるまでパンは与えないと決心し、偏食克服のスタートを切ったのでした。食事の際に激しく抵抗するので、危なくてテーブルと椅子なんて使えません。主人に息子の頭と手足を動かないようにしっかりと押さえてもらい、歯を食いしばって抵抗する口をこじ開け、スプーンで食べ物を入れたら口を指で閉じ、咀嚼し飲み込むのを待ちました。飲み込ませるのも一筋縄にはいきません。何度も吐き出してきますから、こちらも負けずに口に戻します。飲み込んだと思って口に添えていた手を離したら、頬の内側に溜めこんでいて吹き出されることもたくさんありました。
 3、4日経った頃から自分で口を開けることが増えてきました。順調に食べることもあれば、パンしか食べないことを思い出したかのように口を開かなくなるといった具合で、進んでは戻る、の繰り返しでした。それから1カ月が経つ頃には、野菜や肉など食べられる食材が徐々に増え、メニューを選べば外食も可能になりました。

「はい」という返事と視線を合わせる練習

 エルベテークに通い始めて半年が経とうとした頃、幼稚園の面接の日がやってきました。その頃の息子は、「パパ」「ママ」「パン」など数えられる程度の単語しか出ませんでしたが、簡単な指示を理解し返事をすることができるようになっていました。人見知りな態度が出なければ、理解を得られ入園できるのではないかと、淡い期待を抱き面接に挑みました。  
 ところが、不安は的中するもので、椅子に座ってすぐに抵抗し騒ぎ出しました。面接どころではなく、すぐに別室へ移動することになりました。園長先生から「このような子は普通、幼稚園ではなく通園施設へ行くんです。療育に通っていますか?」と言われました。市の療育とエルベテークに通っていることを伝えましたが、「当園では受け入れられませんのでお帰りください」と入園料を返されてしまいました。ショックと悔しさで流れそうになった涙をこらえながら門を出ようとすると「来週、1時間預かり保育をして、入園できるか決めましょう」と提案を受けました。そして預かり保育の結果、入園が許可されたのですが、これがきっかけで家庭学習に今まで以上に力が入るようになりました。
 毎日30分ほどの家庭学習ですが、「はい」と返事をさせる、視線を合わせることを、以前に増して厳しくみるようにしました。そして座っている姿勢を整える、話すべきではない時は口を閉じる、決まりを守って正しく書くことを徹底させました。こんなに簡単なのにどうして出来ないのだろうと、感情的になってしまうこともよくありましたが、「学習内容のできる、できないではなく、姿勢面を整えるように」という先生のアドバイスを思い出し、気持ちを抑えるよう努力しました。学習時、姿勢面で気になるところは、私生活で直したいところとリンクしましたから、躍起になりすぎ、余計に直すことが大変になることもありました。こだわりも、一つ改善すると違うこだわりも出て、何枚皮を剥いでも新しい皮が出てきて頭を悩ませました。おうむ返しが出たこともあります。「口を閉じます」と言って閉じない時は口をつまみ、口を閉じるとはどうすることが正しいか教えました。
 幼稚園に入園後も、園指定のコップでお茶を飲まない、お弁当や給食も一切食べないなど強いこだわりを見せましたが、家でも幼稚園と同じ容器を使って練習し、幼稚園の協力を得ながら一つずつ改善していきました。その結果、今ではお弁当も給食も完食し、毎日メニューを聞いてくるほど楽しみにしています。ごはんを食べることが大好きで、以前はパン、それも特定のものしか食べなかったように見えないほど何でも食べるようになりました。
 そして、偏食が治ると人見知りもなくなり驚いています。代表が「食べ物の好き嫌いが強い人は人の選り好みをする」という話をされていましたが、その通りだと思いました。今の息子は人懐っこく、先生や友達、近所の人にも毎日元気に、笑顔で挨拶をしています。教わる姿勢が整ってくると、二語文、三語文と徐々に言葉が増えました。毎日、幼稚園であったことを教えてくれるほどに成長しました。息子とお互いの気持ちを共感できるようになりつつあります。しかし、そんなときほど、「息子と話せたらどんなに楽しいだろう」と思い悩んでいた日々を思い出し、初心を忘れないようにしています。

「息子もそうなってほしい」と高い目標を持てたから

 今年の5月でエルベテークに通って丸2年が経ちました。2年前、エルベテークに入会していなかったら、今も決まったお店のパンしか口にしていないかもしれません。会話もできないと思います。自分本位に行動し、大人の言うことに耳を貸さないことでしょう。思い描くように学習が進まず常に頭を抱えていましたが、エルベテークの先生方、主人、母、多くの方々に支えられ、ここまで成長することが出来ました。セミナーや懇親会でのエルベテークの保護者の先輩方のお話には大変勇気づけられました。息子もそうなってほしいと高い目標を持ち、息子を信じ努力することができました。
 「焦らずに、今できることを毎日コツコツと続けること」。そうした日々の小さな積み重ねが、子供の成長にも、親の成長にもつながっているのだということを、私は今、心から実感しています。今でも滑舌がよくなかったり、時おり言葉の使い方がおかしいこともあります。姿勢面もまだまだ整える必要があると感じています。こうした点をすぐに改善するのは容易なことではありませんが、「この子なら大丈夫」という希望の光を持って日々子育てにあたることができています。
 それはこの2年間、エルベテークと家庭で積み重ねてきた多くの経験が息子の未来にさまざまな伸びしろを作ってくれたと感じているからです。
 息子には、その「伸びしろ」を十分に生かして、経験を自分自身の「力」に転換できる人に育ってもらいたいと思いますし、またその「力」を人のためにも使える人になってもらいたいと考えています。そしてその道筋をつけるためのサポートをすることが、私たち夫婦の、親としての使命なのではないかと思っています。何より人生の初期にエルベテークという場と出会い、そこでコツコツと積み重ねてついた力は、息子の人生にとって大きな財産になるに違いありません。


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