エルベテーク
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指導事例

指導事例

Sさん 小学6年生(2才11ヶ月入会 自閉傾向)

S さん(新小学6年生)のお母さまより

息子の努力が家族みんなの意識を変えた

2歳で発達の遅れに気づいて……

息子は4月で小学6年生になります。父親は製造業で日夜勤交代勤務をしており、母親は土日出勤や残業も多い営業管理職です。そして今春就職する娘が小学5年生の時に息子が誕生しました。息子は赤ちゃんの頃からよく寝て、よく食べる手のかからない子でした。1歳2カ月の時、私の職場復帰のため、娘が通った保育園に入園しました。みんなで協力しながら子育てをして、特にこれといった大きな問題を感じることなく過ごしていました。

ところが、2歳の9月、クラス担任の先生から電話があり「今日、クラスで定期健康診断がありました。先生がK 君の様子を見て、『一度かかりつけの病院でみてもらったらいいのでは』と言われました。お昼寝直後のせいかもしれませんね」と少し恐縮しながら言ったのです。私は「え?」と一瞬戸惑いました。確かに以前から少し言葉も遅く、指示に従わないこともあり、おとなしい姉との違いは感じていましたが、それは早生まれであることや、男の子だからだと思っていました。

そこで、ちょうど職場の長期休暇(1週間)を予定していたため、「何でもないことを立証するため」と思い病院を受診したのです。すると先生は私に2つの質問をしました。「2語文、3語文は話せますか」「出先などで、『ここで待っていて』と言って待っていられますか」。その答えは2つとも「いいえ」でした。先生は「専門ではないので診断はできないけれど、心配でしたら一度専門の先生にみてもらっては」と言われたのです。私は帰路につきながら、「こんな2つの質問がそんなに重要なことなの?」と腑に落ちず、そのまま図書館に行き発達に関連する本をありったけ借りてきて、休暇中に本やネットから情報をかき集めました。

すると、息子が物を一列に並べて横目で見るしぐさ、家の前を歩くときに横目でフェンスを追いかける様子、呼びかけに応じないことが多々ある、外出では指示通り行動ができず絶えず手を繋いでいたこと、そう言われれば視線は合わないなど、本に載っている事象と合致していることがたくさんあるではありませんか。「うちのK がまさか……なぜなの、原因は、病気じゃないから治らないの、どうすればいいの、どうなっちゃうの?」とこれからのことを考えると不安と絶望に押しつぶされそうでした。そして1週間の休暇の終わりに出した答えは『受け入れないことには前に進めない。受け入れることで、前に進もう』という決心でした。

10月、市の健康相談に行きました。すると療育を勧められ、主人の平日休みに病院に併設されている施設でのプログラムを月2回参加することにしました。そこでは、パズルをしたり、指示どおり体を動かしたりしていましたが、関心がないものに対しては、だらけてしまいました。

指導力を目の当たりにして「親としてやるべきこと」

11月、主人が『自閉症の子を持って』という新聞記者のお父さんが書かれた本を買ってきました。この本の中で『エルベテ-ク』と出会ったのです。私は読みながら「ここだ!」と思いました。すぐにでも行きたい! でも、今の私達は藁をもすがる思いでいるものの、中部地方から埼玉県川口市に行くのは、年に1回東京に行くことさえ躊躇する私達にとっては、大変なことなのです。いろんな意味で冷静に判断しなければと夫婦で話し合いました。まず、通うことなどできるのか……そして費用は……。私達は中学生の娘が通っている塾の内容と比較して月謝の目安を設け、エルベテークの個別面談を申込んだのです。12月初旬、私達は河野代表に言われたとおり家族4人で、個別相談に行きました。教室に通されると息子は先生に相手をしていただき、私達は代表と面談をしていましたが、話の途中でも先生の簡単な指示に従えない息子のことが気になって仕方なく、これが息子の現状だと改めて認識した瞬間でした。面談の終わりに代表と先生に「いろいろな課題はありますが、きちんと教えてあげたらできるようになりますよ」と言われました。

私は通っている療育とは違う緊張感と長年の実績に伴う指導力を目のあたりにして、ここで指導を受けさせたいと強く思いました。「今、将来息子が『自立= 社会に参加しながら、自分の力で働いて生活する』ができるようになるために、何をすべきか、何ができるか。中部地方から川口まで通うことや交通費と月謝は私達にとってとても大きな負担でしたが、もし息子が「将来医者になりたい」って言ったら、私達は全力で応援するだろう……なら小学校入学すら不安な今、将来かかると思っていた教育費を、息子の自立のために『今』使うべきではないのか」と家族で話し合い、通うことに決めました。

親として学んだことは学習の大切さ

年が明けて1月、毎週土曜日に行くことになりました。主人の月1回程度の土曜休みは、朝4時半に中部地方を車で出発します。それ以外は私と息子の二人で朝7時の新幹線で川口に行くのです。まだ小さくて体力もないため、ベビ-カ-とおんぶ紐を持って行きました。ある日、エルベテークの帰りに混雑している電車の中で、「降りる」と言って泣き始め、ベビーカーから出しておんぶ紐で抱っこしても泣きやまず、声は大きくなるばかりでした。南浦和で降りたら、新幹線にまた遅れてしまう。周りの人の好奇な目……泣きたいのはこっちでした。すると、ひとりの年配の女性がそっと私の横に立ち、息子の背中を優しく撫でてくれながら「大丈夫よ。大丈夫。心配しないで」と優しく微笑んでくれました。私はいろいろな感情がごちゃ混ぜになりながら、湧き出てくる涙をぐっと堪え、そのやさしさに救われました。

3カ月を過ぎると、私は平日遅くまで仕事をして、週末には慣れない都会の人込みの中を常に息子に気を配り川口までに行くことや、帰りの新幹線は席に座ることがなかなかできず、デッキに立って帰ることが多く、疲労がだいぶ溜まってきてしまいました。そこでご相談し、息子も慣れてきたため月2回通いまとめて授業をしていただくことになりました。

そして通い始めて私がびっくりしたのは、息子は80分を2回160分、緊張感のある学習を決して嫌がらないということです。むしろ、本人も別人のようにしゃきっとして、やる気に満ちあふれています。初めの挨拶では、「姿勢」「視線」「口を閉じる」をできるまで何度もやり直しをしました。それは今でも変わりません。

当初、私はひらがなや数字などを学習する様子に「学習塾のようなことを期待しているわけではないのに」と思ったこともありました。しかし、それがこの子の課題である「集中力を継続する」「指示がわかり行動する」「我慢する」ということの学びの教材であることに気づき、それは課題のあるなしに関わらず、本来の『学ぶ姿勢』に必要な力であることを親として学びました。

学校との連携のチャンスを逃さず実行

そして小学校の入学前、療育に行っている情報が伝達されていたようで、小学校から呼び出しがありました。私はすぐにエルベテークに連絡し、対応方法をご指導いただきました。面談の日、小学校の教頭先生と支援員の先生が対応されました。

先生方は既に保育園を2回見学されていて、指示が通りにくいこと、手先の不器用さ、団体行動の様子、注意されたことを繰り返してしまうこと、文脈が不明確なことによる会話力の低さ、独り言などをすでに認識されていました。

しかし、保育園の先生が少しフォロ-すると息子は周りの様子を見ながら行動できていること、飽きてきて少し席は離れたけど教室からは出なかったこと、何より折り紙でおひな様を作る工作をしていた時、息子自身もできないことを先生に助けを求めている様子や、隣の女の子が非常にわかりやすい言葉で教えてくれていたことに、小学校の支援員の先生は、今までの自分の指示の出し方について考えさせられるほど感動したとのことでした。

私は「このタイミングだ!」と思い、エルベテークから助言のあった『指導上ご配慮いただきたいことについて』というレポートを出し、息子の現在できること、苦手なこと、配慮していただきたいことを説明しました。学校側は「K 君に課題はありますが、担任のフォロ-や友達の協力を得て成長を見守っていきましょう。また、定期的に支援体制を組み情報交換をしていきましょう」と言われ特別支援学級や通級などの話にはならず、普通学級での入学となりました。

私は校門を出るとようやく緊張も解け、すぐエルベテークに報告をしました。昨年までランドセル売り場を通ると就学の不安で涙ぐんでいたことを思い出しました。保育園生活の端々にエルベテークでの学習の効果や、学校との関係の築き方をご指導いただいたおかげだと思っております。

後でわかりましたが、情報交換として年に2回ほど学校に出向き、担任、市の支援員(校長先生を退職された男性)、学校の支援員、教頭先生の5名で面談を行いました。3年生からは担任と市の支援員の3名で行っています。市の支援員はずっと同じ方で、1年生の担任のあたりがきつい時に息子の良さを面談時に学校側に伝えてくださり、クラス替えの助言、息子の成長を理解と学校との共有、中学生に向けた助言をいただいています。

入学してから気をつけたこと

入学すると担任の先生にご挨拶と『指導上ご配慮いただきたいこと』を手渡しました。それから間もなく担任の先生から「何度言ってもカギをしめる」「何度言ってもすぐ水道を出したがる」など学校での様子を連絡帳にこと細かく報告を受けるようになりました。そのたびにまずは謝罪と、丁寧に繰り返しご指導いただいていることへの感謝の気持ちを表し、学校に登校する前に必ず本人と一緒に復唱し、それぞれの禁止を表すカードを作り貼ってもらうなどしました。

また、音楽会が近くなると連絡帳でとても手に負えないとの感想満載の報告が続きました。決まったところに立てない、きちんと弾けないとクラスが困る、静かに鑑賞できるか心配ということでした。私は当日の同席を申し出ました。その後は、家の床にテ-プを貼り、娘を同級生に見立てて入場と礼の練習。そして練習用の楽譜を作り、姉のピアニカにもドレミを貼り、家で娘や私と一緒に練習しました。

当日、私はクラスの列の左端にいましたが、息子は静かに足をもって座っていました。礼も発表もとても上手にできました。私はそのあと教室に戻ると、クラスの女の子が寄ってきて「今日はどうしてできたの? いつも全然できないよ」言いにきました。私は「ありがとう。でもね、家で一生懸命練習したからよ」と言うと「ふぅ~ん」と言い、行ってしまいました。一日寄り添って感じたことは、子供達は大人の言葉の端々から何か感じ取り、悪気はなくこういう扱いで良いのだ、こんなことを言っても良いのだと刷り込まれていくのだと思いました。

ある参観日、隣のお母さん達からこんな話が聞こえてきました「クラスに違う色の連絡帳を使っている子がいるらしいと子供が言っていたよ」「へ~、6年間でも1冊ですら終わらないのに……」。それは私の息子のことでした。1年間で連絡帳のやり取りは3冊に及びました。どんなことを書かれても常に感謝と丁寧な対応を心がけました。これもエルベテークでのご指導のおかげです。

息子に対するクラスの雰囲気が変わった

2年生になると6年生を卒業させた先生が担任になりした。私はまた現状の『ご指導にあたってご配慮いただきたいこと』を持ってご挨拶にあがりました。しかし、今度は一向に連絡帳に何も書かれないため、学校の様子がまったく分からないのです。4月の終わりの家庭訪問で思い切って1年生の連絡帳を見てもらい、様子を聞いてみることにしました。先生は「鍵は最初しめていたなぁ。でも、目を見て少し表情をつけて『閉めません』といったら閉めなくなりましたよ。お母さん、大丈夫ですよ。みんなとも楽しくやっていますよ。クラスでは遊びに入りたい子が『入れて』というのではなく、遊んでいる子が入りたい子に『入る?』というル-ルにしています」とのことでした。

それからクラスの様子が見る見るうちに変わっていきました。困っていると声をかけてくれたり、そっと教えてくれたり、クラス全体が明るくなっていきました。ありがたいことにクラス替えを2回経ても、同じ先生にご指導いただいており、大変ありがたく思っております。先日、花の絵の中心に名前を書き、花びらにはお友達が息子のいいところが書いてあるプリントを持ち帰りました。その中のひとりが「クラスを晴れにして、わらいあふれるクラスになる」と書いてあり、私は涙がでるほどうれしい出来事でした。

習慣になった毎日の家庭学習

家庭学習は就学前からエルベテークの学習を通して習慣になっているため、毎日必ずやっていきます。私の帰宅が遅いため朝の5時から6時までエルベテークと学校の宿題を一緒にやり、家でも「よろしくお願い致します」という挨拶で始めるようにしています。2年生からは宿題の他に漢字1ペ-ジ、計算ドリル1ペ-ジ、長期休暇は絵日記を書くようにしました。

4年生からは上記に自学(興味のある勉強)と、依然として文章の組み立てが苦手なため日記を毎日書くことを追加しました。そして、漢検の9級を受験しました。はじめてなので、余裕のある級から始めました。これは目標に向けて勉強すること、息子の最大の難関である「一人で試験を受ける」、「初めての人の指示に従う」、「独り言はいわない」、「時間まで離席はしない」、「見直しをする」ということを自分でコントロ-ルする第一歩として貴重な経験をしました。また、合格するという達成感を味わうこともできて、本人にとって大きな自信につながりました。

5年生はコロナでエルベテークはオンラインになり、学校にも行けず家庭学習をする日々が続きました。学校の宿題の「教科書を読む」はそれだけではきちんと読んだのか、わからないため、教科書をコピ-したり、書いたりして穴埋めテキストをノ-トに作り理解しているか確かめました。

そして、日記は進化させて、左側に今日の記事を貼ります。右側上ペ-ジに当日の日記、右側下は『今日の記事』の要約や感想、書き抜き問題を答えます。記事は世界情勢、地域、経済など旬な話題に興味を持つようになり、新聞を取りに行くのが日課になっています。

また、担任の先生から中学生に向けた英語のため『ロ-マ字』のおさらいを勧められ、ノ-トに14個の好きなキャラクター名、友達の名前、都道府県、国、首都など好きな名詞を仮名で書き、右横に楽しみながらロ-マ字を書いています。問題を作るのが大好きになりました。

息子の子育てが仕事にも役立った

小学校高学年になっても、予想していたよりまだまだ課題はたくさんあり、悩みはつきません。しかし、エルベテークや担任の先生方に生活態度や学習課題に対して的確な指示をいただき、参加した懇談会やNPO 主催のセミナ-では、実体験に基づく成長の過程の様子や親の対応方法など具体的なお話を聞くことでとても励みになっています。

また、私自身も息子の子育てが、仕事での部下育成の意識を大きく変えることになりました。いっぽう姉のほうは、悩む親や学校の先生の対応、そしてエルベテークを通して成長している弟を見守り続けたこの春、特別支援学校教諭を職業にしました。

私達家族は息子を応援しているだけではなく、いつも明るい息子に救われ、息子からたくさんのことを学んでいるのだと気づかされています。


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