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指導事例

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松本さん 高校3年生 (小1の8月入会 ADHD)

*今年3月と6月に開催したセミナー【わが子の「発達の遅れ」、その改善に取り組む保護者たち】でのお話のダイジェスト

大人の接し方が変われば、子どもは伸びる

自分で考えやり遂げる子どもに育った(現在の様子)

 今の息子の性格はほんとうに穏やかで、年中の時の多動的で攻撃的だった部分は(学校の)どの先生が見ても、「信じられない」というお話をいただくほどです。ちょっと素朴な感じで、周りに流されない。強く自己主張するわけではないのですけれども、意思をしっかりもっていて、自分でコツコツ、自分の計画したものを確実にこなしていくという感じですね。
 積極性もその中にちゃんともっています。小学1年生の夏からエルベテークに通いまして、自分でやらなければならないこと、生活に必要なこと、あいさつをする、そういう当たり前のことがふつうにできています。ずっとサポートしてくれた私の父は企業で働いていたのですが、その父が言うには、高学歴で入社してくる人たちを相手にしていると、学歴はあるけれども、話が聞けなかったり、社会性が備わっていなかったり、指示されたことができなかったりする。息子が当たり前のことが当たり前にできるのはエルベテークに通う中で培ってきたものだろう、と。息子に「すばらしい」と話してくれています。 勉強のほうもいまは私が手をかけたり話したりすることはないのですけれども、自分で考えて高校1年生の後期から自分で生徒会に立候補しまして、いまも生徒会の活動に積極的に参加しています。成績に関しては、一発でできるというわけではないので、本人が毎日コツコツとやることによって成績も1年生からずっと上位のほうにいます。科目に関しても飛びぬけてできているものがあるわけではなく、均等にどの教科も勉強しているので極端に点数が落ちたり順位が落ちたりということはないです。全部息子が自分で決めて行動しているという感じです。 高校3年生になるので、自分の行きたい方向を見つけ、アドバイスをいただきながら、オープンキャンパスに行ったり、必要な勉強をしたり、必要な資格をとったりと、大学入学のために計画して必要な準備を行っています。

これ以上どうすればいいのか、大きな悩み(就学当初までの課題)

 幼児期の息子は、おとなしく手がかからず、特に問題はなく、私が働いている保育園に一緒に通っていました。でも、ちょうど年少の後半、私が2人目を出産するための育児休暇から復帰した頃、動きが激しくなってきました。保育園で全体に話しているときに立ち上がって奇声を上げたり、暴言を吐いたり、逃げ回ったりしていました。友だちのところに通りすがりでパンチを出して鼻血を出させてしまったこともありました。 「どうにかならないかな」というのが私の正直な気持ちでした。でも、どうにもならなくて、保育士の仲間たちに相談したり、5歳児健診の前、年中の夏休みに県のリハビリセンターに相談に行ったのです。そこでテストを受けたのですが、息子はその場でじっとしていられなかったり話を聞いていなかったりして理解ができず、「知恵はあると思うので、『高機能自閉症』かな」と言われました。そして、療育を勧められ、そこに通い始めました。 療育の指導者の方が学習させようとしても息子は当然やりません。ふらっと行ってしまったら、ニコニコして見守るといった対応でした。月1回通いましたが、「注意ができない、話が聞けない、他人の足を踏んでいても物が落ちていても気にしない」と言われました。ただ「子どものペースに合わせてやっていきましょう」という感じで月1回通いました。もうひとつ、体のバランスが悪いということで作業療法も毎週やることになりました。 就学前、リハビリセンターから「知的レベルは3歳レベルだろう」と言われました。診断名は、それまで「高機能障害」「広汎性多動」「自閉症」といろいろ言われたのですけれども、年長の最後の1月の診察の時には「多動性障害・ADHD」との診断でした。 年長になって小学校の就学時健診に行ったあと、2月ごろに教育委員会から連絡があり、「お宅のお子さんには支援学級をお勧めします」と言われました。私としては教育委員会の説明に納得がいかなかったので、小学校の校長先生に連絡をとり、話を聞いていただきました。理由はなかったのですが、私のほうからは「支援クラスはちょっと待ってほしい。入学してからでもわかっていただける部分があると思いますので」とお話ししました。 普通学級に入学したものの、息子はひらがなが書けず、かろうじて読める程度。数字も5までしかわからないという状態でした。夏休みに入って7月下旬に担任との個人懇談があり、息子ができないことを並べられまして、「2学期からは支援クラスへ」と言われました。

手ごたえを感じにつれ、「これでいいんだ」と確信(学習の成果)

 夏休み中に「どうにかしなきゃいけない」と思って、本屋さんに行ったのですね。なにか参考になるものがないかと見た時に、たまたま河野先生が書いていらっしゃった『発達の遅れが気になる子どもの教え方』が1冊だけありました。それを買ってその日のうちに読みました。読み終わったと同時に、電話連絡して個別面談を希望しました。「もしかしたらここに行ったらなにか変わるかもしれない」と思ったのです。それが8月の3日でした。 エルベテークの指導を最初の面談のときに主人と一緒に見せていただくと、いままで見たことのない姿勢で息子が座っていました。先生からはできていない課題をきちっと話をしていただき、そのあと具体的な対応策を教えていただきました。無理をお願いして、すぐに教室に通うことになりました。 2学期が始まって、私はどきどきしていたのです。そしたら担任から電話連絡がありまして、「急に座っている姿勢が良くなったのですけれども、なにかしましたか?」と言われました。息子の変化が現われたのを担任の先生がすぐに察知してくださって、「いまのままでもう少し様子を見てみましょう」ということになりました。 それからも週に1回、エルベテークに定期的に通い、家庭でもアドバイスを参考に一生懸命同じように学習を続けました。2学期に入る前は足し算の時に5から先は指を使わなければできなかったのですが、エルベテークでは理解を早めるために暗記の学習に取り組みました。ひらがなの書き方や筆順も大切だと言われましたので、無我夢中で練習させました。息子は2時間3時間泣き泣きで学習していました。 ですけれども、結果が出始めてきて、小学校2年生に上がる時には家庭訪問に来られた担任が「『校長からなにをやっているか聞いて来い』と言われました」とおっしゃいました。校長先生も気にかけてくださっていることがわかりました。2年生の時もぎりぎり普通学級という状態で、大変でした。私も辛い時期でしたが、エルベテークに通うことによって話を聞いてくださるし、またアドバイスをいただけて、「これでいいんだ」と思う毎日でした。 時々、「厳しくないかな」と思う時もありましたが、やがて学習開始から1年ぐらい経ってから息子の中でも少しずつ「やらなければいけない」という生活習慣がわかってきたように思います。息子なりにエルベテークに行くこと、先生方に会うことが楽しみになってきました。 そんな息子だったので、それまではほめてもらえることがほぼなかったのですが、エルベテークでは、字がじょうずに書けたとか姿勢がいいとか、あいさつがきちっとできているとか、そういうことをすごくほめてもらえた。それが息子はうれしくて、ふだんの学校に行く時にはなかなか起きないのにエルベテークの学習日にはすごく張り切って早起きし、自分で教材を用意するなど、楽しみにしています。真剣に向き合ってくださっていることが息子にもわかり、いろんなことに挑戦したり、できないことを他人よりもいっぱいやらなきゃということも3年生ぐらいからわかってきたのだと思います。

家庭での学習習慣と前向きな気持ち(親の責任と子どもの努力)

 2年生の時には、それまでかけ算はできなかったのに、とにかく1ヶ月2ヶ月、一生懸命一生懸命練習したら学校でできるようになったのです。そしたら、学校でかけ算博士の賞状をいただきました。それを持って帰ってきたときに息子は「『一生懸命頑張ったからもらえた』って先生が言っていた」と言いました。それが100点でした。「勉強するといいことあるね」って息子は初めて言いました。学校でそういう評価をしていただいたことによって、本人に自信がついてきて、周りの子どもも息子をすごくほめてくれるようになりました。 1年生の時には宿題が終わらずに昼休みにみんなと遊べないこともあったのですが、2年生の時にはそれもなくなり、昼休みにサッカーをやったり、友だちの輪も広がってきました。勉強するというだけではなくて、できるようになって次の視野が広がってきたという感じですね。 1年生の時から帰宅したらまずエルベテークの宿題、次に学校の宿題をやっておやつ、全部が終わったら自由という約束をしていました。ただ、交友関係が広がってきた2年生の時に、その約束が崩れかけたことがあります。学校から帰ってすぐに遊びに行ってしまったのです。私のほうも息子に友だちができたことがうれしくて、「じゃ、今日だけね」と約束を破ってしまったのです。そうしたら、リズムが崩れて、学習の能率も悪くなり間違いも多くなりました。遊びたいから雑になってしまったのですね。 3年生の時にはすべてが悪循環になってしまいました。そこで、息子ともう一度話をして、いまやらなければならないことを再確認し、宿題をやってから遊ぶという約束を守るようにさせました。その時、私は子どもの言い分や言い訳に流されやすいこと、大人が強い意志をもち続けて導いていかなければいけないという親の責任を実感しました。息子はそうとう反省したようで、いまでも当時のことを覚えています。 中学校に入ってからは、授業についていくのが厳しかったのだと思いますが、エルベテークの先生方に相談して、自分なりに課題を見つけて書き出し、それをチェックしながら勧めていく方法に変わってきました。 中学2年生までは基本的な数学、国語の評価は最低のCがついていて、学年の順位が半分以下だったりすることもありました。そこで息子はもちろん落ち込むのですけれども、「やればできる」とずっと思っているので、週1回のエルベテークの学習日に課題を持っていき、どういうところができないのか、どういうふうにしたらできるのかをアドバイスいただき、それを家でも確実にやる、納得するまでやる。いろんな問題をやりたかったのでしょうけれども、基本的なことを確実にやりました。他の塾に行くこともなく、エルベテークでつくっていただいたプリントだけで最後まで学習しました。 そんな感じでずっと来たのですけれども、中学の後半になって結果が出ました。最初に英語で評定の5をいただいて、その5がうれしくてうれしくて真っ先にエルベテークにその成績表を持っていき、そこで「やっぱり頑張った結果だよ」と先生たちにもほめていただきました。先生たちが喜んでくれたことが息子の中ですごくうれしくて、またそれで頑張り始めて……。すると、3年生の2学期に5が増えていきました。それまで5なんてなかったのですけれども、一番苦手だった数学も5になりました。 私たちは見守るだけだったのですが、エルベテークの先生方が息子を信頼してくれるという信頼関係をつくってきたんだと思います。「エルベテークに行って先生に会うと、気持ちがすごく落ち着く」と息子は言っていました。

前向きに頑張ること(将来への期待)

エルベテークに通う前は「この子はどうなっちゃうのだろう」と心配していました。実の父も「こう言うのは酷だけれども、企業には支援の枠があるから、支援クラスに入ってそういう枠を狙って企業に就職したほうがこの子のためになるのじゃないか」と言っていました。でも、いまの息子は当時の息子とはまったく違います。 息子を育てる間にはいろんな人の話を聞きました。その中で自分が判断していまがあると思っています。やらなければ何も変わらないというのは息子もそうですけれども、大人も大事だなと思います。自分でも同じように一緒に努力していかないといけないと強く感じます。 いま、息子は大学受験なので、不安がありますが、どんな時でも前向きに頑張っていると必ずご縁がありサポートが現われてくると思っています。


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